CAST & CREW
Q: 四度リプリーを演じるに際して、前作までの彼女の変化についてはどの程度意識しておられるのでしょうか。

SW: それほど意識はしていません。それぞれの作品で、彼女は全く違う場所にいましたから。私は寧ろ、物語に何か新しいものを見つけることの方に興味をかきたてられるんです。それというのも、私も歳をとって、自分で本物だと感じるものを演じるようになったからですね。前作までの映画の世界は、まさにリプリーにとってそうであるように、私自身の人生の一部でもあるんです。今回の作品に興味を持った大きな理由は、私の演じるキャラクターが、ある意味において別人だからです。本当に、全くの別人といってもいいでしょうね。この作品では、リプリーの本質に関わるある出来事が全てを一変してしまうんです。彼女の人類に対する関わり方、エイリアンに対する関わり方、宇宙に生きることの意味、地球に行きたいと思う理由、そうしたこと全てが新しい意味を持ちました。撮影中に、過去の作品を改めて全部観るというようなことはしません。観たのは一作目だけです。今回の新作が、第一作の精神を生かそうとしていましたから。一作目はこれまでにも、何度も何度も繰り返し観ています。二作目と三作目は観ていません。私はこの2本のことを覚えていて、どちらも何というか、自分の中にあるからです。



Q: 演じるキャラクターを選ぶときには何を求めているのですか。あるキャラクターから次のキャラクターへと移っていくときには変化を求めているのでしょうか。

SW: ええ、私は色々な役柄の間を跳び回るのが好きなんだと思います。ああ、あなたはいつも本当に強い女性ばかり演じていますね、と言われるのには飽き飽きしていますし、第一、私はリプリーをそれほど強い女性だとも思っていません。但し、今回の作品では確かに強い女性かもしれませんね。何しろ、さっきもお話ししたように別人ですから。私が演じるキャラクターについてひとつ言えることは、それがとても孤立した人物ばかりであるということです。それは彼女たち自身のせいであったり、彼女たちを取巻く状況のせいであったり、あるいは彼女たちが求めるもののせいであったりします。例えばダイアン・フォッシー(「愛は霧のかなたに」)や「死と処女」で演じたキャラクターがそうです。彼女たちは自分がやろうとしていること、例えば誰かを縛り上げて裁判にかけるとかそういうことに、まるで不向きであろうがなんだろうが、とにかく頼れるのは自分自身だけなんです。あるいは「コピーキャット」の場合、主人公は神経衰弱に苦しんだ過去があります。ですから私にとっては、どれもたくさんの弱さを持ち合わせたキャラクターばかりであって、リプリーでさえその例外ではありません。 様々な役の間を跳んで回る私にとっては、三作目で死んだのはいいアイディアでした。たくさんの新しい役柄を、本当に思いきり演じることができましたから。それが今またこうして生きているんですから、不思議な気分ですね。

Q: 今回リプリーはどうやって復活するのですか。

SW: クローンとして甦るんです。バッファローに住む12歳の男の子が、理科の実験で蛙のクローンを造ったというニュースがありましたが、時宜を得たアイディアで私はとても気に入っています。映画自体は勿論ですが、私はこの題材をリプリーという一個人に絞って描いていることを、とても素晴らしいと思います。甦ったリプリーは、自分自身に疑問を抱きます。というのも、クローニング工程に問題が生じて、彼女は遺伝子レベルでエイリアンと融合してしまったからなんです。そのため映画全体に、彼女の人間性やその真意に対する疑念が影を落としています。これはとても興味深い設定で、私は最初、リプリーは人間と一緒にいるときにはエイリアンとしての自我を強め、エイリアンと一緒にいるときには自分をより人間らしく感じるのではないかと考えました。しかし実際には、彼女はエイリアンといるときにこそ、まるで自分がエイリアンそのものであるかのように感じ、人間と共にいるときには、自分が死から甦った人間であることを強く意識するのだと思います。無駄話をしては腹を立てて罵りあう人間達から、死を経験した彼女は感情的に遠ざかっているんです。



Q: 撮影について具体的に伺いますが、水中撮影では泳ぎ方に何か工夫なさったとか。

SW: クリーチャー・イフェクツ担当のトム・ウッドラフやアレック・ギリスとは、これまで3本の映画で一緒に仕事をしましたが、多くの場合、トム自身がスーツを着てクリーチャーを演じています。私は、リプリーがエイリアンの特性を発揮する自分自身に驚く様子を演じてみたいと思いました。寝るときの姿勢が違うとか、美味しそうな食事に見向きもしないとかそういうことなのですが、それでは水中ではどうなんだろうと考えたんです。私は実は閉所恐怖症気味で、とにかく水中撮影は怖くてたまりませんでした。何しろ、私達が泳いで通り抜けることになっていた部屋のセットには天井があったんです。とにかく息の続く限り泳いで、あとは誰かが自分のことを見つけてくれるのを祈るばかりでした。

それはともかく、脚本に書かれてあった水中シーンを読んで、私はリプリーには水の中がとても心地よいのではないかと感じたんです。それで、フム、もし水中がそんなに快適なら、エイリアンとしての側面もより活発になるだろう。だったら水中での動き方を色々試してみるといいんじゃないかと考えたわけです。それでトムが、彼がどんな動きで水中のエイリアンを演じるつもりかを私にも教えてくれました。結局、今は精一杯速く泳いでいるだけですが、本当はそのエイリアン泳法もかなりうまくできるようになったんですよ。

Q: 出演を決めた理由は何だったのですか。それまでにも何種類かの脚本を読まれたことだと思いますが。

SW: いえ、それは違います。今でもハッキリと憶えていますが、ある重役のオフィスでこの続編の話が出たときには、正直言って言葉を失いました。というのも、私が前作で死んだ理由の一つが、とにかくこのシリーズをリプリーから解放するためだったからです。目を覚ましては「大変、化け物が船内にいるわ」と言わせるというようなことを、いつまでも彼女に繰り返させたくはありませんでしたし、その度に皆から蔑まれながら前よりひどい状況に陥るという道化役にもしたくなかったんです。ですからシリーズ自体のためということもあり、また「エイリアン vs. プレデター」なんていうぞっとしない続編のウワサを耳にするに至って、もうこれまでだと思いました。ところがスタジオは、執筆中の新しい脚本を読めば、私を甦らせるその刺激的なアイディアを必ず気に入るはずだと言うんです。それで、ジョス・ウェドンの書いた第一稿を読んでみたんですが、とても素晴らしいと思いました。

ウィノナが既に出演を決めていたことにも、とても魅力を感じました。撮影開始の一年前には、監督以外の全てが揃いました。脚本がいいものになったのは、スタジオがそれだけ力を入れていたからこそです。彼らは「エイリアン」シリーズをとても誇りにしていて、決していい加減な作品で金儲けだけしようなどとは考えていませんでした。スタジオも自覚していましたが、このシリーズの成功は、エイリアンという題材を咀嚼してそれを彼自身 -- 彼女自身、といずれは言ってみたいところですが -- 彼自身のものにできる優れた若い監督を、毎回選んできたことが大きいと思います。

Q: 「デリカテッセン」や「ロスト・チルドレン」といった作品の何があなたに「この監督だ」と思わせたのでしょうか。

SW: 素晴らしいブラック・ユーモアのセンス、とても興味深い閉所恐怖症的物語、そして、とても奇妙で独創的なキャラクター達です。私は特に「デリカテッセン」が好きなんです。未来を舞台とした一種のSF映画で、荒唐無稽でありながら非常に緻密な作品です。全てのキャラクターを個性的に描きながら、同時にアンサンブル映画にもなっていました。ジャン=ピエールとは、パリで会いました。彼は一言も英語を喋れませんし、私のフランス語もひどいものです。それでも、彼の才能については疑問の余地がありませんでしたから、もし彼がそれを望み、「エイリアン」シリーズに対する情熱さえ持っていてくれれば、この新作に最も相応しい監督であることは明らかでした。彼なら最高だと思いました。



Q: 回を重ねるにつれてシリーズに自嘲的なユーモアを加えることは重要でしょうか。

SW: それには慎重であるべきだと思います。全編を通じて自分自身をからかうキャラクターばかりという映画が時々ありますが、私にはとても嘘っぽく感じられて仕方ありません。そういう人間もいれば、そうでない人間もいるわけですから。続編は、それが続編であることを意識させないようなものでなければなりません。素晴らしいストーリーに最高のキャラクター、そしてアクションと感動とユーモアの適切なバランスが大切です。自嘲的ユーモアには、実際危険が伴いますね。今回のリプリーがまさにそうで、かなり自嘲的なキャラクターになって、それまで持っていた弱さが少し失われてしまいました。もっともこれは、彼女が置かれた状況によるものなので問題ないとは思いますが。とにかく続編には、全く新しい作品を作ろういう姿勢で取り組むべきだと思います。

Q: 毎回肉体的にも大変な撮影をこなしておられますが、今回はクローンだということもあって準備のためのトレーニングは大変だったようですね。そのことについて話していただけますか。

SW: この2年半ほどカラテを習っていて、今度の夏にはグリーンベルトに挑戦しようと思っているところです。ですから、まずこれと、それからバスケットボールのシーンのために... バスケットボールのコートで男達をたたきのめすというシーンがあって、私はそのシーンをこういうふうに頭の中で描いていました。すなわち、刑務所から出たばかりの彼女がバスケットボールをして、新しい人生で最初の楽しさを経験すると。実際その通りなんですが。そこにゲームを邪魔しようとする連中が現れて、私はバスケットボールを武器にしてゲームを続けるんです。私はナイジェル・ミゲルと2週間かけて、このシーンを徹底的に研究しました。毎晩UCLAへ出かけて色々なことを試しましたが、中でもナイジェルが私にやらせたがった、その場を去りながら肩越しに決めるシュートというのに取り組みました。誰にもできないシュートを決めるというのは、私のアイディアでした。超人となったリプリーだからこそ可能なんです。私のアベレージはせいぜい6本に1本でしたから、猛烈に練習しました。けれどもこのシュートでは、それまでの練習よりもずっとバスケットから離れなければならなかったんです。シュート用に機械を作るから、無理に決めなくてもいいとまで言われました。それで私も少し気をそがれたんですが、ナイジェルは「絶対自分で決めるんだ。きっとできるから絶対にあきらめるな」と言い続けてくれました。するとボールが私の手を離れて... 私はすっかり自身を失っていたので、決めようなんて考えてもいなかったのに、リムに擦りもせず、ただネットだけが音を立てて... もう本当に、結婚と娘の出産を除けば我が人生最高の瞬間でした。その後、多分10日間くらいは、足が地につかなかったんじゃないかしら。

Q: 最高だったでしょうね。

SW: 当然です。何しろ本当に決めたんですから。しかもカメラがちゃんとセットされている前で(笑)。だってクロースアップの時に決めても、誰にも分かりませんからね。

Q: シリーズを通じて印象深いのは、他者との関係を築いていく時に見せるリプリーの用心深さです。リプリーとコールの関係についてはどうなのでしょう。

SW: ウィノナのことを話すのなら簡単です。ウィノナに初めて会ったのは一年前で、たちまち彼女が好きになりました。本当に普通の人で、それにとても楽しいんです。決して自分を飾ったりしません。ですから、鬱陶しいハリウッド的な厄介事なんて全くなしに、たちまち意気投合できました。一方、キャラクターとしての私達の関係も興味深いものです。彼女が演じたのは、とても情熱的かつ理想主義的なキャラクターで、ある意味でかつてのリプリーを思い起こさせるものなんです。今回私が演じたキャラクターも、そのことに心を動かされるのだと思います。とにかく他の女性と一緒に仕事ができるのは素敵なことですし、ウィノナは直感力と強さを持った本当に素晴らしい女優だと思います。私達二人はとてもいい共演者でしたね。



Q: 水泳やトレーニングについてもう少し伺いたいのですが。

SW: 撮影開始の前日まで、私はニューヨークの舞台でニンフォマニア(性欲亢進症患者)を演じていたんです。ですから、他の俳優のようなトレーニングは受けられませんでした。スキューバダイビングをしたいと思ったなど、一度もありませんでしたね。シュノーケルでの潜水なら何度もやったことはありましたが、あの大きくて重いタンクを背負うことを考えるだけで、気が重くなるんです。それでプール撮影の初日ですが、そのプールというのが、厨房だということでブタの死骸は漂っているし、何だか尖ったものがそこら中にあるし、その上真っ暗という最悪の場所で、そこに潜らされてどう動けだの何だのと指示されるんです。私は水面まで上がって、それもタンクを背負っていたので大変だったのですが、こう言いました。「本当に申し訳ないのだけれど、これは私には絶対にできないわ。私が高くついているのは分かっているけど、本当にできないの。行けと言われたあのドアまで泳ぐことさえできないんだから」

それから何が起ったのか自分でもよく分からないんですが、とにかく優秀な救命ダイバーたちに囲まれて一日そこにいる間に、すっかり委縮して息も絶え絶えの状態から -- 私はリプリーほど勇敢ではありませんから -- 最後には何とか実際に泳げるまでになりました。それにしても、8人もが泳ぎまわるこの狭い厨房には、パイプや通気孔のある天井から、ぶつかると痛そうなものまで色々なものが溢れているんです。全員が小さな水ギゼルを持たされました。私は完全に怯えていましたから、呼吸を調えて何とか冷静でいようと努めていました。本当に怖かったんです。

スタント・コーディネーターのアーニーは、「今から秒読みを始める。何か問題が生じたらこうする(親指を下げる)ように。全員の親指がしっかり上がっているところを見せてくれ」と、こうです。それから「7、6、5、マスク外せ」と叫ぶんです。それで酸素をあきらめてマスクを外すと、今度はもう何も見えません。とても暗い場所で、所々にカメラ・フォーカスのための照明があるだけなんです。基本的には息ができなくなるまで泳ぎ続け、後は誰かが助けに来てくれるのを祈るだけです。

結局、それが私のやったことですね。自分が何をやっているのか分からないまま、ただひたすら泳いで泳いで泳いで、そして今まさに息絶えようとするときに誰かがやって来て口に何かをあててくれるという具合でした。それから、どこか水の外へ顔を出せる場所まで連れていってもらうんですが、その場所さえ自分では見つけられないんです。

これが、全員で一緒に撮影した最初のシーンでした。おそらくこれで連帯感が生まれたんでしょうね。完成したシーンは素晴らしいものです。夫が、リプリーになったつもりで演じてごらんと言ってくれたことに救われました。あの言葉なしに、この撮影をやり通すことができたかどうか。何しろ、決して私の得意分野ではありませんでしたから。

Q: この作品によって観客は劇場でどんな体験をするのでしょう。

SW: これは一作目同様、とても閉所恐怖症的な作品です。登場するエイリアンは決して多くありませんが、その代わりにたいへんな知性と悪夢のようなユーモアを持っています。かつて誰も見たことのないようなものが描かれていますが、これもクリーチャー・イフェクツの進歩によって初めて可能になったことですね。特殊効果もアクションも全て、シリーズ中で最も優れたものになっています。加えてリプリーとコールという、とても興味深いキャラクターの関係も描かれていきます。極めて独創的でありながら、その精神においては第一作や第二作に極めて近い作品になりました。観客はこの作品に驚き、そして惹きつけられると思います。ジャン=ピエールは素晴らしい仕事をしてくれました。ある意味でシリーズ最高の作品を創り出したのですから、本当にすごいことです...





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