アルビン/歌うシマリス3兄弟

本当にいたデイブの話

 映画の中に登場するデイブ・セビルは空想の人物ではない。アルビン、サイモン、セオドアこと3匹の歌うシマリス、チップマンクスの生みの親であるデヴィッド・セヴィル(デイブ・セビル)は、本名をロス・バグダサリアン・シニア(1919-1972)という実在の音楽家。1958年のクリスマス・シーズンに彼がシングル盤でリリースした「ザ・チップマンク・ソング(シマリスの歌)」は、その年の12月22日付の全米シングル・チャート(ビルボード誌)で堂々ナンバー・ワンに輝き、その後4週間にわたり首位を独走した。
 チップマンクスというシマリスのキャラクターを作り上げて歌を歌わせるアイデアは、セヴィルが音楽制作のために購入したテープレコーダーから生まれた。録音した演奏、つまりカラオケを半分のスピードで再生したものに歌を入れて、本来のスピードに戻す。そうやって生まれたハイピッチの魔法の声が、アメリカ中の子供たちをとりこにした。最初のヒットが58年の「ウィッチ・ドクター」(本編中ではアルビンたちのセカンド・シングルとして披露されている)。そして、続くヒットが彼の声を多重録音して3匹のシマリスに仕立てた「ザ・チップマンク・ソング(シマリスの歌)」だったというわけだ。
 セヴィルは、彼にヒットを迫るレコード会社のいまいましい重役どもの名前をシマリスたちに付けた。リバティ・レコードのアルビン・ベネット、サイモン・ワロンカー、セオドア・キープ。彼らはすべて実在の人物であった。現実社会では無理でも、曲の中なら、彼らを思う存分怒鳴りつけることができる。その思惑は成功したが、うれしい誤算もあった。3匹のシマリスたちが、まさか世界中から愛されるキャラクターに成長するとは思っていなかったのだ。
 「アルビン/歌うシマリス3兄弟」で、デヴィッド・セヴィルが「ザ・チップマンク・ソング(シマリスの歌)」を録音するときにアルビンたちを叱るその文句は、58年のオリジナル版を忠実に再現している。セヴィルの息子であるバグダサリアン・ジュニア(本作の製作者)が、父親の思いを茶目っ気とともに受け継いでくれたことに感謝をしたい。

松永良平(リズム&ペンシル/ハイファイ・レコード・ストア)
※映画での表記はデイブ・セビルですが、ミュージシャン表記はデヴィッド・セヴィルになります。

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