「大勢の人の前で、ボールが顔面にぶつけられた時の痛みと恥ずかしさのショックを正面から捉えた、本物のドッジボール映画が出来あがった」と、主演兼製作者のベン・スティラーは、満面の笑みを浮かべて語る。そして、『ドッジボール』は、映画史の中に新しいうねりを引き起こすことの出来る、メジャーの映画会社が初めて製作したドッジボールを主題にした傑作なのだ。そこで、監督兼脚本のローソン・マーシャル・サーバーは言う。「ドッジボールはこれまで、映画の主題としては問題外だった。しかし、『がんばれ! ベアーズ』(76)や『ミートボール』(79)、『パラダイス・アーミー』(81)のような、負け犬たちを描いた素晴らしい映画の伝統に沿った映画でもある。典型的なコメディ形式の中で、あらゆる寄せ集めの負け犬たちが、社会的にも金銭的にも体力的にも恵まれている人々に打ち勝つドラマなんだよ」
しかし、サーバーの執筆した脚本は、大手映画会社の重役たちには好評だったが、買い手は見つからなかった。サーバーは、「誰もが“面白い”と言ってくれるが……ドッジボールの映画を作りたいとは言ってくれなかった。これまでドッジボールの映画など作られたことがなかったから、ほとんどデータもなかったんだ」と語る。そして最後に、ベン・スティラーとスチュアート・コーンフェルドが代表を務める製作会社レッド・アワー・フィルムズに脚本が持ち込まれた。「脚本は本当に面白かった。映画界にとって、新しく素晴らしいキャラクターとテーマが描かれていて、それは誰もが一度は経験したことのある内容だった」とコーンフェルドは言う。
ベン・スティラーも同調する。「誰もが子供の頃のドッジボールに対する恐怖と栄光、そして、屈辱とその時に経験した感情的な重みと傷を抱えている。そんな経験から、復讐を企てる奴も時にはいるんじゃないかな。それに、ショー・ビジネスで働いている連中の大半は、ドッジボールがヘタだったはずだから、今、その時の憂さを晴らしているはずさ」