ファンタスティックフォーラム
このコーナーでは、毎回「ファンタスティック・フォー [超能力ユニット]」をテーマにゲストによるコラムを掲載していきます。第1回はアメキャラ系ライター 杉山すぴ豊さん。アメリカン・コミックス(アメコミ)原作の映画に詳しいすぴさんが熱く語ります。


★ スパイダーマンやダース・ベイダーのファンタスティックな先輩!?
「ファンタスティック・フォー [超能力ユニット]」は、アメリカで1961年に創刊されたコミック「ファンタスティック・フォー (以下F4)」をベースにしています。出版社はマーベル。そう「スパイダーマン」や「X-MEN」を有する会社であり、最近では続々と作品が映画化されていて、いまハリウッドが最も注目するコンテンツ・メーカーです。マーベルのブレイクのきっかけはこのF4の成功でした。ではなぜこれほどの人気を得たのか? F4にはそれまでのSFヒーロー・コミックスの常識を覆すユニークな設定とドラマがあったのです。超人となった4人が正義のために戦う、というヒーローものの王道パターンを踏襲しながら、この4人の関係および4人と世界・世間の関係を極めてリアルに描き、“もしこの現実社会に本当にヒーローがいたら”に挑戦した作品だったのです。4人の内輪もめや絆を描き、また彼らは匿名の存在ではなく、世間にその正体が知られているセレブであり、おっかけもいるかと思えば、マスコミにバッシング記事を書かれたりもします。秘密基地どころか、家賃を払ってNYのビルに拠点を構えているのです。F4で、SFヒーローものに等身大の人間ドラマをブレンドさせ成功したマーベルは、この手法を用いて、SFヒーロー×青春ドラマ=スパイダーマン、SFヒーロー×人種差別ドラマ=X-MEN等を発表していきます。なので、F4は現代のリアル・ヒーローものの元祖・先輩格と言えるでしょう。実際、スパイダーマンの最初のコミックでは、お金に困ったスパイダーマンがF4に入れば給料をもらえると思って、彼らをあてにする話がありますし、X-MENの創刊号には「F4みたいなヒーロー・チーム」なるコピーが書かれています。またF4のキャラクターや設定が、他のSFヒーローものにも様々な影響を与えているようで、例えば昨年公開された「Mr.インクレディブル」はF4の影響をみてとれますし、悪役のDr.ドゥームはダース・ベイダーの元ネタのデザインというファンもいます。F4の魅力の一つに、宇宙や異次元・魔界から様々な怪人・魔人が次々とNYに現れてF4たちと大バトルという派手な展開があるのですが、高橋留美子さんの名作「うる星やつら」に通じる“大騒ぎ”感があります。そういえば人気の「ワンピース」の主人公もMr.ファンタスティックと同じ、伸び縮みする体が特長。こうしてみると、F4がいかに面白いSF冒険もののパターンをすでに先取りしていたか、よくわかります。F4は60年代終わりにアメリカの有名なアニメ会社ハンナ・バーベラによってTVアニメ化され、日本でも「宇宙忍者ゴームズ」のタイトルで放送されました。Mr.ファンタスティックは、ゴームズと呼ばれてました。これは“シャーロック・ホームズのように頭がよく、ゴムのように伸び縮みする”からだそうです(笑)。スーはスージーと呼ばれ、「キューティ・ハニー」や「ルパン三世」の峰不二子役の増山江威子さんが、色っぽく声を演じていました。

★ GREAT&FUN!女の子も必見のファンタスティックな傑作です!
当然、これだけのコンテンツですから、映画化が最も望まれていた作品でもありました。
しかし、4人も超人がいるので、その超能力を描こうと思ったら、視覚効果の技術もコストも大変で何度も頓挫してきました。けれど今回、満を持しての映画化。F4の生みの親である、原作者のスタン・リーが「今度の映画にあたって、20世紀FOX(映画会社)が、F4の映画化にふさわしい脚本と視覚効果の技術、そして完璧なキャスティングが揃うまで待ってくれたから、素晴らしいプロジェクトが実現できた」と語っているそうですが、まさにその言葉どうりの傑作として仕上がりました!海外の批評でGREAT&FUN!(凄い上に愉快!)というのがあったそうですが、まさにその通り!超能力を使ったパワーバトルのシーンは“これぞ!SFアクション!!”の出来栄え!コミックやアニメで、ずっと実写で観たかったシーンが、例えばジョニーがかけ声とともに炎人間となって猛スピードで空を飛ぶ…等が完璧な特殊効果が再現されて凄い!と思う一方で、感心するのはF4の魅力である、彼ら4人のドタバタな生活ぶりや人間関係等の日常描写が、大変テンポ良く面白く描かれていることです。X-MENやバットマンの映画にある、“重さや暗さ”とは一味違う“明るさ・楽しさ”がそこにあります。まさにFUN!これは映画の制作者たちが原作に敬意を払い、F4の魅力をキチンと理解していたからでしょう。例えば、今回、岩石怪人とも言うべきザ・シングをCG(コンピュータグラフィック)ではなく特殊メイクで表現したこともその一つ。“見た目は物体=シングだけれど、中身は血の通った人間”という原作のニュアンスを表現すべく、あえてCGを使わなかった。そのせいか、僕らはいつしかザ・シングにすごく共感できるようになっています。そして「ファンタスティック・フォー [超能力ユニット]」は、是非女性に観てもらいた映画でもあります。実はこの映画で登場人物たちをひっぱるのは透明バリアのパワーを持つ女性スーです。スーは、F4のリーダーの元彼女であり、悪役Dr.ドゥームになるビクターのいまの彼女であり、ザ・シングの友人 そしてヒューマン・トーチの姉で、要はこの物語の男たちはスーを中心につながっています。なので彼女が、運命にとまどう男たちを仕切りながら事件を解決していくわけです。単なるマスコットとしてのヒロインではなく、彼女こそが、この映画の“ヒーロー”なのです。彼女のかっこよさにスカっとすることでしょう。
全世界で記録的なヒットをしてるので続編も決定!「スター・ウォーズ」サーガが幕を閉じたいま、この素敵な4人の活躍をこれからは楽しみにしていきましょう!
杉山すぴ豊
アメキャラ系ライターとして「ブルータス」「日経エンタテイメント」「月刊プレイボーイ」「アメコミ新潮」「ぴあ」「東京WALKER」等の雑誌、「X-MEN2」「ハルク」「スパイダーマン2」「エレクトラ」の劇場用パンフレットにアメコミ映画についてのコラムを執筆。「スパイダーマン」シリーズのキルスティン・ダンスト、「ファンタスティック・フォー [超能力ユニット]」のジェシカ・アルバ、クリス・エヴァンスのインタビューも担当。伊藤英明出演のフィギュア映画「ブリスター!」の原案担当。現在、海外コミック・サイト www.planetcomics.jp に連載あり。

バックナンバー
第1回 杉山すぴ豊さん
第2回 福澤朗さん
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