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至福のとき Up Down Drag
 チャン・イーモウは初めての監督作「紅いコーリャン」でベルリン映画祭の金熊賞を受賞して世界を驚かせた。「秋菊の物語」と「あの子を探して」で2度にわたってヴェネチア映画祭金獅子賞を獲得するという快挙も成し遂げた。「菊豆」と「紅夢」で米アカデミー賞にノミネートされ、「活きる」ではカンヌ映画祭の審査員グランプリに輝いた。三大映画祭を制した今、彼は名実ともに映画界の頂点にいる。そして、世界の映画ファンと批評家が待ち焦がれていた彼の新作は、「あの子を探して」「初恋のきた道」の作品世界に連なる感動的な物語。コン・リー、チャン・ツィイーに続く新しいミューズ、ドン・ジエを誕生させたことでも忘れがたい映画となるに違いない。
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 原作は、「紅いコーリャン」で知られる現代中国の代表的作家モー・イエン(莫言)の短編小説。とはいえ物語は大幅に変更され、目の不自由な少女ウー・インも映画化に当たって新しく作り出されたキャラクターだ。しかし、監督は荒唐無稽なおとぎ話という側面では原作に忠実だと語る。確かに物語自体は破天荒で非現実的。そこに、ダークなユーモアを漂わせるのが監督の狙いだった。
 盲目の瞳に強い意志を感じさせるウー・インを演じるドン・ジエ(董潔)は、中国全土5万人の美少女の中から選ばれたチャン・イーモウの新しいミューズ。可愛らしさの奥に気丈さと健気さを秘めて、輝くような存在感。彼女が見せる涙とこぼれるような笑みには、人の心を揺さぶる力がある。

 また、監督が「役柄にぴったりで、彼以外には考えられなかった」というチャオ役のチャオ・ベンシャンを筆頭に、同僚たちを演じるリー・シュエチエン、フー・ピアオ、ニウ・ベン、ドン・リーファンら主要な俳優たちは皆、中国で知らぬ者はないほど有名な俳優。監督は今回、台本にこだわることをやめ、現場で俳優たちに読み合わせをさせた後、台詞を取捨選択していった。最初はチャンの即興的台詞に戸惑っていたほかの俳優たちもしだいに慣れ、自然発生的なその場の閃きで掛け合いのハーモニーが生まれるようになった。

 そして、撮影のホウ・ヨン、美術のツァオ・ジュウピン、サウンドのウー・ラーラー、編集のチャイ・ルー、音楽のサン・パオら、いずれも「あの子を探して」と「初恋のきた道」で組んだ気心の知れたスタッフたちが、至福の映像世界を演出している。