ハイド・アンド・シーク -暗闇のかくれんぼ
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プロダクション ノート
現代ハリウッドの常識を覆した脚本

「観客を芯から震え上がらせるストーリーを書きたかったんだ」と、『ハイド・ アンド・シーク 暗闇のかくれんぼ』で映画脚本家としてのデビューを飾るアリ・シュロスバーグは語る。「僕はニューヨークで育った。そして森はいつも、僕にとって恐怖を感じさせる要素をたたえていた。だから舞台も郊外の緑豊かな町に設定したんだ」

 ストーリーの緊張感ならびに不気味さに満ちた要素と歩調を合わせるため、シュロスバーグはしばしば、夜、暗がりの中で執筆をし、すべての役を自分で演じてみた。「キャラクターたちの声が、ストーリーの行方を教えてくれたよ」時と共にストーリーは発展し、ついにシュロスバーグは脚本を世に送り出す時機が来たと判断した。

 プロデューサーのバリー・ジョセフソンは、シュロスバーグの脚本を読み始めた途端、たちまち魅了されたという。「死ぬほど震え上がったよ」とジョセフソンは当時を振り返る。「ページから目を離すことができなかった」映画化を決断したジョセフソンはさらに、この脚本に手を入れることができる脚本家はシュロスバーグ以外にいないと確約した。これは、脚本の手直しや“磨き上げ”の作業に大量の脚本家たちが動員される現代のハリウッドでは、非常に珍しいことである。



新しいロバート・デ・ニーロによる父親像

 伝説的な名優ロバート・デ・ニーロのキャスティングは、本作にとって必要不可欠なことだったとジョセフソンは語る。「デ・ニーロは演じる役柄のすべてで、観客に忘れがたい印象を残している。娘の身に起こりつつあることに対して、デイヴィッドの中で次第に大きくなる苦悶と恐怖を表現する上で、彼はとても多くのものを作品にプラスしてくれたよ」

 ヒットスリラー『プール』を監督したのち、このプロジェクトに加わった監督のジョン・ポルソンは、本作はデ・ニーロに新しいタイプの役柄を演じる機会を与えたという。「ボブ(デ・ニーロの愛称)が、バラバラになってしまいそうな家族をつなぎとめようとする父親役を演じるのは初めてだ。彼にとっては、今まで挑戦したことがなかったタイプの脆さなんだ。新しい彼がみせる素晴らしい演技には、とにかく圧倒されたよ」

 脚本の緊張感とスリルの要素も一因ではあったが、ポルソン監督がこのプロジェクトに最も心惹かれ高く評価したのは、ストーリーに描かれる父と娘の関係だった。「父親が、父と娘のどちらもその正体を知らない何者か…あるいは何かから娘を救おうとするとの設定が、とてもエキサイティングな人間ドラマを作りだしているんだ」と自身、俳優としても活躍するポルソン監督は語る。「デイヴィッドが必死に娘を助けようとするさま、そして娘と再び気持ちを通わせようと努力する様子は感動的だよ。僕たちはまず、彼らの関係に観客を惹きつけなければいけなかった。そうすれば観客は、あとで彼らに起こるすべてのことに感情移入できるはずだからね」



スリラー初挑戦!新境地に挑んだダコタ・ファニングの名演技

 複雑かつ高い演技力が要求されるエミリー役の俳優を探し続けた製作陣は、ダコタ・ファニングのもとに行き着いた。「彼女の年代で、これ以上の女優がいるとは思えないね」とジョセフソン。「彼女は年齢をはるかに超えた演技力を身に付けているんだ」

「ダコタには衝撃を受けたよ。それ以外、表現のしようがないね」とポルソンは語る。「彼女と仕事していると、素晴らしい才能に恵まれた35才の女優と一緒に働いているみたいなんだ」

 ファニングにとって、初めて脚本を読んだのは忘れられない体験だった。「2階の自分の部屋で読み始めたの。でもすごく怖くなってしまって、パパと妹のいる1階に下りなければならなかったわ。でないと最後まで読めなかったの」と彼女は振り返る。

 トラブルに巻き込まれる少女を演じるにあたり、ブロンドのファニングはブルネットのかつらをつけ、目の下にメーキャップを施し、とりつかれたような雰囲気をかもし出した。このかつらは効果的だったものの、役作りのほんの一助にしかならないくらい、エミリー役はファニングにとって、まったく新しい試みだった。「エミリーは今までにやったどの役とも違う感じだったわ」とファニングは語る。「まず、ルックスが全然違う。でもそんなの序の口なの。エミリーは明らかに怯えていて、なんらかのトラブルに巻き込まれている。でも彼女は、この恐ろしい出来事を引き起こしている真の原因が誰であるか?あるいは何であるかについては、何も明らかにしないのよ」

『I am Sam アイ・アム・サム』でショーン・ペンと、そして『マイ・ボディガード』でデンゼル・ワシントンとそうしたように、ファニングはデ・ニーロとの特別で息の合った共演を楽しんだ。「ロバート・デ・ニーロと共演できるなんて夢のようだったわ。彼は一緒にいてとても居心地のよい人だったし、毎日なにかしら彼から学んでいたの」

 映画の冒頭に登場するエミリーは幸せなごく普通の9才の少女で、母親とは強い絆で結ばれている。その母が死んでまもなく、エミリーとその父親はニューヨーク北部の、不気味な静けさに包まれた町にある家へと引越しをする。この家で、ファニング演じるエミリーは、チャーリーと名づけた恐ろしい友達との間に秘密を抱えた、口数の少ない少女へと変貌する。「最初、エミリーが想像の友達を作ったことはいいことに見えるの。でも、それは悪いことに変わっていく……どんどん悪くなっていくのよ」



実力派チームが生みだすノンストップの恐怖

 デイヴィッドとエミリーの悪化していく状況を描き出すため、そして恐怖をじわじわと増幅させるために、ポルソン監督と彼のチームは、美術、ライティング、カメラワーク、音響、音楽を駆使した。「これらのテクニックと、ボブとダコタによる抑制された素晴らしい演技が、映画の前半で静かな“心理的”不気味さを生みだし、観客を常に緊張させ続けるんだ」とポルソン監督はいう。「そして最後の一幕では、アクションと恐怖がノンストップで展開されるのさ」

 映画の冒頭、撮影のダリウス・ウォルスキーはライティングに工夫を施し、陽気な雰囲気を作りだした。しかし、デイヴィッドとエミリーの新生活への期待が消え去ると、ウォルスキーはライティングによって、デイヴィッドの悪夢の奥深くへと観客を引きずり込んでいく。「何かがエミリーの中で壊れてしまったんだ」とウォルスキー。「そしてデイヴィッドはそれを修復しようとしている」。同様に、常に動き回るウォルスキーのカメラワークが、デイヴィッドとエミリーの恐怖が高まりゆく一方であることを示している。

 美術のスティーヴン・ジョーダンも多くの貢献を果たした。彼はエミリーの描く、だんだんと不気味さを増していく絵の数々の監修にあたるなどした。無邪気で魅力的だったエミリーの絵は、彼女が空想の友人にだんだんと心を囚われるようになるにつれ、邪悪さを帯びていく。ジョーダンとポルソン監督は何百枚もの絵に目を通したが、その作業はまるで映画のキャスティングのようだったとポルソン監督が語る。「<主演スター>の絵の大半に、<代役>まで用意していたくらいさ」

 作曲のジョン・オットマン(「X-MEN2」)による管弦楽を贅沢に使用したスコアもまた、恐怖をより盛り上げている。オットマンは映画を通じて流れるメインタイトル曲に、ダコタ・ファニングのボーカルを組み込んだ。「彼女は見事に不気味なテイストをプラスしてくれたよ」。オットマンの狙いは見事に的中した。



父娘の物語を支える重要なキャラクター

 脇を固める出演者たちも、本作のスリルとサスペンスを高く評価すると同時に、キャラクター造形の巧みさに賛辞を寄せている。

 エイミー・アーヴィング演じる、エミリーの母アリソンの突然死がきっかけで、デイヴィッドとエミリーの人生には恐るべき事件が次々に発生する。「アリソンは明るくて楽しい母親で、娘とはとても密接にかかわりあっていたの」とアーヴィングは語る。「だからアリソンが死んだとき、エミリーは大きな衝撃を受けるのよ」

 もう1人、ストーリーで重要な役割を果たすのが児童心理学者のキャサリン(ファムケ・ヤンセン)である。彼女はエミリーに対して母親的な役割と、プロの心理学者としての役割の両方を果たすようになる。ニューヨークの都心部に住むキャサリンは、エミリーのことでデイヴィッドと頻繁に連絡を取り合い、新しい住まいでの奇妙な出来事を聞くとすぐに父娘のもとを訪ねる。やがて彼女は、幼い少女を救うため自らの命を危険にさらすのだった。「キャサリンは腕利きの心理学者で、なんとかしてエミリーとデイヴィッドを救おうとしているの」とヤンセン。「キャサリンは、エミリーがしている単純な遊びと、彼女が空想上の友人だと言うチャーリーが、見かけよりももっと深い意味を持つものであることを知っている。でも、<かくれんぼ>という言葉はエミリーだけじゃなく、すべてのキャラクターたちに向けられたものなの。彼らが誰で、これから何を体験しようとしているかを反映しているのよ」

 一方、デイヴィッドの人生に異性として新しく登場するのが、離婚したばかりでこれからどう生きていくかを模索しているエリザベスである。エリザベスは新しい家へと引っ越してきたデイヴィッドとエミリーを歓迎し、彼女とデイヴィッドは親しい友人となる。そして彼らの関係がロマンティックなものへと変わり始めたとき、エリザベスは自分が誰か、あるいは何かに狙われていることに気づく。「でもそれは、チャーリー? それともエミリー? あるいはわたしたちがまだ気づいていない何かなのかしら?」とエリザベス役のエリザベス・シュ?は問いかける。「それがこの映画の重要なミステリーのひとつよ」

 ディラン・ベイカー演じるハファーティ保安官もまた、だんだんとその恐ろしさを増していくキャラウェイ家の事件の数々に巻き込まれる人物の1人である。ベイカーは語る。「キャラウェイの家は美しいが、時に寂しくもある。ウッドランドは環境に恵まれた小さな田舎町だけど、同時にちょっと不気味でもあるんだ。“パラダイス”の中で孤立していることには、ちょっと薄気味悪いどころじゃない何かがあるのさ」



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