イン・アメリカ 三つの小さな願いごと
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イン・アメリカ 三つの小さな願いごと

 アイルランド人のジョニー・サリヴァン(パディ・コンシダイン)とサラ(サマンサ・モートン)夫妻は、いつもビデオカメラを構えているおませな10才の娘クリスティ(サラ・ボルジャー)と愛らしい妹のアリエル(エマ・ボルジャー)を車に乗せ、カナダを経由してアメリカへとやってきた。“休暇旅行”と偽っての入国。クリスティは検問でドギマギしている両親を見て、無事国境を越せるよう<一つ目のお願い>をした。彼女は死んだ弟フランキーの言葉を思い出す。「願いごとには願っていいことといけないことがある。そして、願えるのは三つだけ」――。

 一家は騒音に満ちたマンハッタンのアパートに落ち着いた。麻薬常習者や部屋に閉じこもる謎めいた“叫ぶ男”ら個性豊かな人たちが住む、怪奇映画に出てくるような廃墟寸前のアパートを、みんなで手分けして改修した。サラはアイスクリーム屋で働き、ジョニーは舞台のオーディションを受けてまわったが、なかなか役はもらえなかった。
イン・アメリカ 三つの小さな願いごと

 この街では、夫婦にとってあらゆることが苦労の連続だった。そして、2人は未だフランキーの死に囚われていた。2歳の時に階段から落ちて脳腫瘍で死んだフランキー……。しかし、娘たちにとってここはあらゆることが起こる魔法の街。やがてサラは妊娠し、ジョニーは娘たちをカトリック系の学校に通わせるために夜勤のタクシー運転手になった。

 ハロウィーンの日。手作りのコスチュームで仮装したクリスティとアリエルはアパート中の部屋を叩いてお菓子をねだったが、誰もドアを開けようとはしない。ただ1人、“叫ぶ男”ことマテオ(ジャイモン・フンスー)だけが2人を招き入れた。部屋に閉じこもって暮らしているアーティストの彼は、姉妹から弟のフランキーが死んだことを聞くと涙を流し、小銭の入った貯金箱をくれた。ジョニーは気味悪がったが、サラはマテオを食事に招いた。どこか預言者めいた彼は、サラのお腹を見て「赤ん坊が幸せを呼ぶ」と言った。

 しかし、医者はサラを診察して赤ん坊を諦めるように言う。フランキーのことを思い、自らの命を危険にさらしても産もうとするサラ。ジョニーはそんなサラに苛立ち、彼女の身を案ずるマテオの気持ちを愛だと勘違いして部屋に怒鳴りこむ。「サラも君も娘たちも、まだ生まれていない赤ん坊も、君の怒りも、命あるすべてのものを愛している」と静かに言うマテオを見て、ジョニーは彼が不治の病に侵されていることに気づくのだった……。
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