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oscar1.jpg (7512 バイト) 林の中を、教会が動いていく。男の声が言う。「教会を運ぶという賭けがなかったらこの物語は始まらなかった」と、そして曾祖父オスカーを巡るロマンチックで、不思議で、壮大な物語を語り始める。

 1848年。オーストラリアの片田舎。幼い少女ルシンダは誕生日に両親から美しい“涙ガラス”を贈られてガラスに魅せられた。同じ年のイギリス、デヴォン州。幼い少年オスカーは、死んだ母の洋服を狂ったように海に投げ込む父の姿を見て恐れおののく。それ以来、海と水は彼にとって死の象徴となった。

 オスカーは厳格な説教師の父のもと、清貧の極致たる生活を送っていた。しかし、次第に父の宗派を信じられなくなり、石投げ占いをしてイギリス国教会に宗旨変えすることを決意する。牧師ストラットン(トム・ウィルキンソン)の家に身を寄せたオスカーは、彼の薦めでオックスフォード大学に進学した。赤毛で、何よりも神を愛し、世間知らずで他人とうまくコミュニケートできないオスカー(レイフ・ファインズ)。“変人”として有名になった彼に競馬を教えたのは、間違って部屋に入ってきたフィッシュ〈バーナビー・ケイ)だった。

 その日、オスカーは喜びを知った。運命の躍動と天の采配を愛したオスカーは、競馬に勝つと神の祝福を感じた。彼は必要な金以外は教会に寄付し、ギャンブルが罪だとは考えないようにした。しかし、周りはそうは思わなかった。悩み抜いた彼は償いのためにオーストラリアに伝道に赴くことを決め、反対するフィッシュと賭けをしたあげく、勝ってリバイアサン号に乗り込む。

 一方、オーストラリア。進歩的な母に自由に育てられたルシンダ(ケイト・ブランシェット)は、母の死後、莫大な財産を受け継いでシドニーのガラス工場を買い取った。周囲が彼女に望むのは結婚。女が好き勝手にものを言えるような時代ではなかった。ルシンダの話し相手は共同経営者になったハセット牧師(サイアラン・ハインズ)だけ。ある日、知人からカードに誘われた彼女は孤独を癒す妙薬、ギャンブルを発見する。非合法の賭場で大負けすることで、彼女は財産という重荷から解放された。悪い噂はすぐに広まり、ほとぼりをさますことも兼ねて工場の機械をロンドンに買いに行った帰り、ルシンダはリバイアサン号に乗り込んだ。

 水恐怖症のオスカーは海の見えない2等船室。一方のルシンダは1等船室。しかし、二人ともギャンブルに飢えていた。そして、トランプのゲームが二人を引き合わせ、奇妙で情熱的な関係が始まる。

 親しくなるにつれ、オスカーはルシンダがハセット牧師を愛していると思い込んだ。ハセットは彼女との噂を断つために奥地の教区へ赴任する。窓の外を走る馬のひずめの音に、競馬を思い出してうなされるオスカー。我慢ならず出かけた賭場へ、やはりルシンダも現れた。二人はルシンダの家でカードに興じた。しかし、これが信者に見つかり、オスカーは教会から破門される。

 ルシンダは心身共に傷ついたオスカーを家につれてきた。二人は互いに惹かれ合っていたが、オスカーはハセットとルシンダの関係を信じ込んでいた。ある日、工場を訪れたオスカーはガラス細工の教会の置物を見てその美しさに心打たれる。そして、とんでもないアイデアを思いつく。本物のガラスの教会を作って、ハセット牧師の住むベンジェリンに運ぼうというのだ。それは、自分の信仰心とルシンダのガラスヘの思いの完全な結合。神と運命、そしてルシンダヘの愛情を証明する、生涯最大の賭けだった。

oscar9.jpg (10012 バイト) 目的地へは荷物の量もあって水路で移動するのが最良の方法だったが、水恐怖症のオスカーは原住民が住む危険な陸路を選んだ。有名な探検家ジェフリスを雇い、いよいよ出発の時がやってきた。ルシンダは愛する男の突飛な冒険に心を痛めながらも、この冒険の成功の是非を巡って互いの全財産を賭けることを提案する。

 それは苦難の旅だった。陸路とは言えいくつもの川を渡らねばならなかった。ある日、ジェフリスとその部下はオスカーの止めるのも聞かず、遭遇した原住民アボリジニを皆殺しにする。彼らは酒場に着くと、アボリジニの女を順番に抱いた。我慢できなくなったオスカーはジェフリスに決闘を申し入れ、はずみで彼を殺してしまう。オスカーは罪の意識に苛まれながらも、組み立てた教会をいかだに乗せてベンジェリンの船着き場に到着した。

 陽にさらされてピシピシ音を立てて割れるガラスの屋根。「奇跡か、夢か、廃墟か?」。ハセット牧師は複雑な思いで眩いた。彼はここで妻をめとったばかりだった。牧師を3人目の夫にすることに失敗した未亡人ミリアム(ジョセフィーン・バーンズ)は、今度はオスカーに白羽の矢を立てた。精根尽きて倒れたオスカーを家に運ぶミリアム。かいがいしく看護しながら、彼女はスカートをまくリ上げて意識朦朧としたオスカーの上に乗る。

 ルシンダを心から愛しながらも、“汚した”ミリアムと結婚しなくてはいけないと悩むオスカー。その夜、彼は川に浮かぶガラスの教会で神に懺悔した。ルシンダを裏切ったこと、父を悲しませたこと……。そのとき、重みに耐えかねていかだが沈み始める。オスカーはルシンダの顔を思い浮かぺながら教会とともに水の中に沈んでいく。

 葬儀に駆けつけてきたルシンダ。彼女は涙を浮かべながら、最後の賭けとなった証書に火をつける。

 やがてミリアムは子を宿し、生まれた息子がオスカーと同じ赤毛だと見届けた後に世を去った。これを知ったルシンダは、迷わず赤ん坊を引き取った。それが、夢と賭けと愛に包まれたオスカーとルシンダの物語。

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