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Up Down Drag
 東京郊外にある弁当工場。夜明けまで繰り返される流れ作業を続ける深夜パートの主婦たち。その中に混じって、4人の女たちがいる。香取雅子(原田美枝子)42歳、吾妻ヨシエ(倍賞美津子)51歳、城之内邦子(室井 滋)40歳、山本弥生(西田尚美)30歳。彼女たちにとって、日々の暮らしに夢や期待を抱く時期はとうに過ぎ去った。繰り返されるのは、人生への耐えがたい不安と澱のように溜まっていく失望だけ。

 雅子は、亭主のリストラによる家族の家庭内離散。ヨシエは、夫が残した痴呆症の義母の介護。邦子は、独り身の孤独を埋め合わせるようにブランド品を買い漁ったツケのカード破産。弥生は、ギャンブル狂の亭主から受ける暴力。誰もが心で悲鳴を挙げていた。「こんな暮らしから、抜け出したい!!」。深夜の弁当工場は、彼女たちがそんな生活から一時でも解放される場所であった。

 そんなある日、女たちの一人が日常の境界線を踏み越えてしまう。弥生による夫殺しである。

 弥生の告白で事件に巻き込まれていく雅子、ヨシエ、邦子。隠滅工作のため、彼女たちは死体の解体作業をはじめる。はじまりは、友情や共感ではなく、弥生から貰う報酬が目当てであった。まるで、弁当の詰め込み作業のように、新しいパート・タイム・ビジネスとして死体を切り分けていく女たち。ドライな関係と割り切っていたはずが、4人は次第に奇妙な連帯感で結束していく。秘密を共有した女たちは、はじめて自分の胸のうちを語れる同士を得たのだ。

 一方で、事件の秘密を知ったやくざと刑事たちの執拗な追求が迫る中、彼女達は閉塞した状況から抜け出すためにそれぞれの人生への闘いを強いられていく。