PLANET OF THE APES
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「PLANET OF THE APES/猿の惑星」来日記者会見

写真 7月28日の公開を前に、ティム・バートン監督と3名のキャストが来日し、7月17日に記者会見を行いました。アメリカはもとより、これが本作の世界で最初の記者会見とあって、アジア諸国からも記者団が詰めかけ、会場にはカメラクルーを含め500人のマスコミが集合。
そして、会見ではクラル役のケリー・ヒロユキ・タガワが映画で実際に着用したゴリラの全身特殊メイクで参加し会場を沸かせました。このメイクのため、特殊メイクアップ・アーティストや衣裳担当のスタッフがハリウッドから同行、なんと本人は午後から始まった会見のために9時半からメイクをしていたとのこと。またバートン監督と彼を慕って集まったキャストたちはとても仲が良く、会見は終始リラックスムード。オフィシャルサイトでは、そんな会見の模様をお送りします。

参加者化粧直し
ティム・バートン監督ほか3名写真撮影の前には
入念にブラッシング




監督:皆さんさんこんにちは。猿をホテルに入れてくれて本当にありがとう!

ロス:やあ。

エステラ:お招きいただきありがとうございます。

ケリー:(日本語で)田川ひろゆきです。よろしくお願いします。
本当に帰ってきてうれしいです。どうぞ、よろしくお願いします。




■ 最初にこの映画をやってみないかと言われたときはどう思いましたか?

エステラ:実は正直言って、そのときは女優になって2週間しか経っていなかったの。それでオーディションを受けてみないかと言われて行ってみたら、ティム・ロスやケリー、マークやヘレナやマイケル・クラーク・ダンカン、もちろんティム・バートンもいて。私は一体ここで何をしてるんだろう? なんて場違いに思ったけど、本当に嬉しかった。

監督:ティム・バートン監督オリジナルの「猿の惑星」は僕にとってもクラシックの名作だったから、リメイクしてはいけないというのが僕の持論だった。オリジナルは当時の時代にマッチした作品で、神話的なベールに覆われている。ただ、猿と人間の社会が逆になると言う逆の発想、視点を変えて物事を見るというアイデアに惹かれたんだ。それにスタジオ側から、リメイクではなく君のバージョンを作ればいいと言われたしね。

ロス:僕にとっては、バートン監督と仕事できるというチャンスが一番魅力的だったね。僕はテレビ世代であんまり映画を観ていないから、オリジナルのことはそんなに知らなかったし。もう一つ、これは実験的な要素のある予算の大きな映画だという点も魅力だった。

監督:猿にも聞いてあげて!

ケリー:オリジナルが作られた1968年は、私が高校を卒業した年でした。ロバート・ケネディが暗殺され、アメリカがカンボジアを侵攻した年で、いろんな社会的な変革や政治的な闘争があった。この年にこういった猿と人間の闘争を描くというアイデアの作品が世に出たということは本当にすごいことだと思います。僕が気になったのは、この映画に入る前にいくらぐらいお金を払わなくてはならないのか、ということだったけど……。

ロス:(大爆笑)猿からこんな言葉が出てくるのを見ているだけで、おかしくてしょうがないよ!




■ 極秘撮影でエンディングを何パターンか撮られたと聞きました。何パターンか撮影してその中から1つを選んだのですか? それとも始めからラストは決まっていたけど他のパターンをカモフラージュとして撮影されたのでしょうか。

監督:僕もどこかで何パターンか撮ったと読んだけど(笑)、実際はそうではなく──最後には“ミュージカル・バージョン”というのも考えたけど(笑)──決まったベースのラストが1つしかない。それを少しずつ変化させたものを撮ったりもしたけど、基本的にはラストは1つしかなかったよ。




■ まだ本編を観てないんですが──ティム・ロスさんは凶暴なチンパンジーをとても楽しそうに演じているように感じました。初めてのチンパンジー役はいかがでしたか?

監督:僕たちもまだ本編を見てないよ!(笑)

ロス:そうだな、僕がもしチンパンジーを演じていたら、ナショナル・ジオグラフィックのドキュメンタリーのようになってしまっただろう。それはつまらない。別の考え方では、単なるゴムのマスクを被っただけの人間、という演じ方もあるけど、それもまたつまらない。僕はチンパンジーを演じているというより、いつも“鮫”のつもりだったよ。動物を演じるのは本当に楽しかった。リアリティがあってね。

エステラ:ええ、彼はとっても似合ってたわ!




■ それぞれの役が、今回のキャストに相応しいと思った決め手は何だったのでしょう?

監督:いい意味で、ティム(・ロス)はマスクをつけていても、邪悪なチンパンジーの性質がにじみ出て来るんだよ(笑)。よく一般的にチンパンジーはかわいいと言われるけどA僕は恐ろしいと思ってる。チンパンジーのように落ち着きがなく、神経を尖らせて激しい行動をとってしまうような、そういう部分を彼は持っていたんだ。
ケリーには、やはりゴリラが持っている、厳粛さ、強さ、物静かさという要素がある。だからゴリラにピッタリだったし、メイクに負けない素晴らしい演技ができる人だった。
エステラも、なんとか人間を演じてくれたしね(笑)。




■ 動作などを学ぶためエイプ・スクールに通ったとのことですが、役作りで一番困難だったことは何でしょう?

ケリー:あのー、猿と人間が違うのは3パーセントぐらいなんですね。ええ、そうなんですよ。だから、猿と人間の共通性というものを演技で表現したくて、いろんなフィルムを観ました。やっぱり、ゴリラは大きくて恐く感じるけど、静かさ、繊細さ、あと感覚的であること──そういうところがあって、それがクラルのキャラクターとしても大事だと思いました。私は空手をやっているので、‘動物’の感覚は自分の中にすごくあるんです、だからそんなに難しくありませんでした。

ロス:ティム・ロスとエステラ・ウォーレン今回の役は、僕に開放感を与えてくれた。メイクはもちろんきついものだったし、時には問題も起こったし、気分が悪くなったこともあったけど、俳優として、演じている自分が見えないということは本当に開放感があるものだったよ。猿としての自分の歩き方や動き方を見つけるまでは苦労したけど、それを一度見つけたら後はただ楽しかった。メイクの下で僕は「なんておかしいんだろう」っていつも笑ってたんだ。それに、自分が子供の頃、裏庭でカウボーイごっこやインディアンごっこをして遊んでいたときのような“ごっこ”遊びの延長みたいだったし、楽しかったね。




■ 猿のメイクをした人を初めて見たときの感想は?

エステラ:私は最初びっくりして、まず触ってみたいと思ったわ。でもそれに慣れるのは凄く早かった。撮影の後半では、猿のメイクよりもメイクをとった後の素顔の俳優を見ることの方にびっくりするくらいだったの。でもさすがティム・バートン監督よね、これだけの俳優たちが数時間も座りっぱなしでメイクしてでも彼の映画に出たいと思うなんて! それはまさにバートン監督だからなんだわ、って実感したの。

監督:僕は現場がとっても恐かったね。猿たちは僕を殺したいとでもいうような顔で睨んでいるんだ。エステラが言ったように、6時間もメイクチェアに座ったままいれば、誰でも人を殺したくなる。特に僕をね(笑)。でもそれが結果的には映画には効果的に働いた。仲でも特に恐かったのはここにいるティム・ロスとケリーだ。木の上から僕の背後に飛びつくんじゃないか、というような殺気を発していたよ。




■ エステラさんは、猿の中で人間役を演じて、場違いのような気がしませんでしたか?
またスポーツ界から女優に転向したきっかけを教えてください。

エステラ:猿の報復が恐かったので今初めて言うけど(笑)、猿じゃなくて本当によかったと思ってる。
また、女優への転向は私にとってごく自然なものだった。シンクロナイズドスイマーでも、やはり観客の前でパフォーマンスすするわけで、私自身人の前に立って何かをするのがもともと好きだったのね。
ティム・ロスとエステラ・ウォーレン 女優になりたいとロサンゼルスに行き、マネージャーを探したり、2週間かけて準備を始めたちょうどそのときに、監督からこの映画の話をいただいたの。今こうやって話していてもお伽話のようだと自分でも思うけど、機会に恵まれてラッキーだったわ。

監督:奇遇なんだけど、彼女が女優に転向しようと思っていたとき、ちょうど僕たちも映画界からシンクロナイズドスイミングの世界へ転向しようかと思っていたんだ(笑)。今度プールでお会いしましょう!

エステラ:今回更にラッキーだったのは、私がシンクロで体をずっと使っていたこと。私が演じたデイナはとても強い女性で、走ったり、泳いだり、馬に乗ったり。スイマーとして培った体を十二分に活かすことができたわ。そういう意味でも私にピッタリの役だと思うし、女優はなかなかこういうアクションの多い役はもらえないもの。強くてアグレッシブな女性の役で嬉しかった。




■ ジム・キャリーが「グリンチ」で来日したとき、長いメイク時間の間に気を紛らわすためにいろんなことをしたと話していましたが、ティム・ロスさんとケリーさんには、そういう方法がありましたか? また、メイクに関するエピソードなどあれば教えて下さい。

ロス:僕の場合、一番いいのは寝て過ごすことだった。いびきをかいてね。メイクが終わって、演技をする段階ではただただ楽しかった。

ケリー:私は……

ロス:彼はずっとこのままなんだよ! メソッド・アクターの典型さ(笑)。

ケリー:ケリー・ヒロユキ・タガワメイクをしていると、メイクをしていることを忘れてしまう。時々、自分の腕を見て「ハッ! 毛深い」と思って我に返ったりして。よくやったのは、猿のメイクのままこっそりスタッフなんかの後ろに忍び寄って──そう相手は気づかないんですね。5分くらい立ってたこともあるかな──そして相手がふっと振り返ったときのリアクションを見るのが楽しくて! 英語では人をからかったりするのを「Playing Monkey」と言うけれど、僕は一応エイプなんですが、「Playing Monkey」することもあったということです。猿のまねをして走り回ったりして、特に監督を追いかけるのが一番楽しかった。

監督:僕は恐かったよ!(笑)

ケリー:それから、食事は「鏡を見ながら食べるように」という指導を受けていたんですが、鏡の中の顔は猿なのに、食べ物を味わっているのが自分で、奇妙な感じがしました。

ロス:とにかく動物の実験をしているような光景だったよ。見た目にはすごく奇妙だっただろう。




■ もし猿たちが言葉などを理解したとして、この映画を観たら何というと思いますか?

監督:猿の批評家のこと?(笑)たぶん反応は人間と同じようなものじゃないかな。

ケリー:実は今日撮影中に予告編を見ていて、そこに本物のチンパンジーもいたんですが、予告編が終わったら興奮して飛び跳ねていたので、多分共感を持ってくれたのではないでしょうか?(笑)

エステラ:難しい質問だけど……ただ1つ言えるのは、この映画には、いろんな社会的な葛藤とか人種間の対立なども描かれているけど、それはメインのポイントではないということ。いい映画はどの映画もそうだけど、観てて楽しい、美しいということ、観客が映画館での2時間を自分の日常を忘れて全く新しい世界へ飛び込んで浸れるということが映画のよさだと思うし、皆さんもこの映画でその感覚を感じて欲しいわ。

ロス:僕には全く見当がつかないね!(笑)




■「シザーハンズ」「バットマン」等のキャラクターを多く生み出してきた監督ですが、オリジナルが影響を与えた部分はキャラクターに比例してきているのでしょうか? またこの先、どんなキャラクターを作ろうと思っているか、将来のビジョンはありますか?

監督:今日気づいたことが一つあって、ティム・ロスが言っていたように、私は動物的な人が好きなんじゃないかなと発見したんだ。今まで怪獣映画とかが好きで、影響を受けたのが……

ケリー:『弱虫クルッパー』、『弱虫クルッパー』だよ!

エステラ:いいえ、「火星人の襲来」よ。

監督:そうだね、そういう作品に影響を受けてきたんだ。将来のビジョン? 僕には未来はないよ!(笑) 今を生きるだけさ。




■ 猿のメーキャップで顔が隠れていたことは演技にどう影響しましたか?

ケリー:私は東京で生まれて、テキサスのルイジアナなど南部で育ったので、ずっと仮面を付けているような気分でした。アメリカで生きることは、仮面を付けているようなものです。1つ違うのは、猿のマスクは恐い顔をしているけど、感受性があってセンシティブだということ。よく考えてみると、ティム・ロスも僕も悪役を演じてきたけど、悪役は実は繊細な部分が大事だったりするもの。だから共感できて演じられました。




■「猿が人間を支配する」という設定を、どのように自分の世界へと引き寄せられると思ったのですか?

監督:僕はよく「君は動物的だ」とか言われるんだけど、さっきも言ったとおり、私自身も動物的な人が好きなんだ。だから、すごく感情的にこの作品に入れたということと、この作品のキャラクターは猿も人間もすべてアウトサイダーなんだと思うんだ。そういう僕の好きな題材そのものが最初から含まれていたということなのかも。

エステラ:でも私はそうは思わないわ。この映画は十分にティム・バートンの世界だと思う。この映画に描かれている世界はまさに彼のビジョンだった。映画が実際に始まってみると、私の想像を絶する世界が広がっていたわ。この映画でも監督は自身の世界を作り上げたと言ってもいいと思う。




■ もし人間として本当に「猿の惑星」に行ったら、どんな行動をとる?

ロス:僕は食糧になるだろうね(笑)

エステラ:自分で言うのも恥ずかしいけど、私は役と同じことをするんじゃないかしら。つまり、平等を勝ち取るために戦うと思う。よく、映画の中で描かれているものは社会を反映しているというけど、私自身も平等を勝ち取るために戦うでしょう。

ケリー:私は今までの人生の中でも、どうしても常に自分が場違いだと感じて生きてきたものです。だから、もし猿の惑星に行ってもそれが普通のように感じるかも。適応できるかもしれませんね。ただ僕の場合、あまりにもそこが居心地よくなると、別の場所を求めるところがあるので、きっと猿の惑星に慣れたら新しい場所を探し求めるのでしょう。“猿の浪人”です。

監督:ティム・バートン監督僕は惑星にバナナ農園を作ってたくさんバナナを栽培して、大金持ちになるんだ!(笑)

■ 独自の発想はどうやって浮かんでくるのでしょう?

監督:こういう映画はファンタジーの部分が多いので、流動的な要素が多いんだ。だからこうやって座って話し合いをして決めるのではなく、優秀な人々を集めて──メイクがあって、衣裳があって、それらが集まって方向性を見いだせることができる、いわば旅のようなものなんだ。最初にアイデアはあるけれど、それがみんなの意見を聞きながら変化していくということだね。
エステラ:本当に素晴らしいほど彼は狂気に満ちているわ。


2001年7月17日、東京・帝国ホテルにて


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