スパニッシュ・アパートメント
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クラピッシュ映画の常連ロマン・デュリスは、“これまでは特殊な人物”を演じることが多かったが、今回は“ウルトラ級に平凡な男”に挑んだ。また、当初から主人公の恋人役に起用が決定していたオドレイ・トトゥについて、クラピッシュは「オドレイは外見は陶器でできたティーポットのように華奢だけど、その中には戦車のようなパワーが潜んでいる」と語っている。本作が撮影されたのは『アメリ』への出演直前であり、彼女が大スターとなる前である。そして、この映画でセザール賞助演女優賞にノミネートされたジュディット・ゴドレーシュなど、フランス映画新世代を代表するスターたちが“新たな一面”をみせているのも大きな魅力だ。他にキャスティングされた青年俳優たちの演技も素晴らしい。クラピッシュは、ステレオタイプによった人物ではなく、ひとりの生身の人間を描こうと、彼はヨーロッパ中でオーディションを行い、出演経歴よりもカリスマ性やユーモアセンスに重きを置いた。この“ヨーロッパ・オーディション・マラソン”が生んだ最大の果実が、セシル・ド・フランスの発見である。レズビアンのベルギー留学生を演じた彼女は、見事、セザール賞最優秀新人賞に輝いた。




 『スパニッシュ・アパートメント』という傑作が誕生しえた背景には、ソニーのHD24pカメラという最新の高解像度デジタルカメラの存在があった。監督は「HDカメラのおかげで、信じられないような自由を手に入れたよ。まずレンズと俳優の間の垣根がもっと低くなるし、“実物”にもっと近づくことができるんだ」と言う。またこの映画では特殊な映像効果が重要な話法の手段として使用される。例えば、クラピッシュはあるシーンの再生スピードを極端に速め、コミカルな効果を生みだした。「今回はビデオ的な観点で遊んでみた。マルチスクリーンやディゾルフを使ってね。ドキュメンタリー的なフッテージと特殊効果によるまったくのフィクションをミックスするっていうのが僕の意図だった」。様々な恩恵をもたらしたHDカメラに監督は最大限の賛辞を送っている。「60年代、早回しの技術と軽量カメラがヌーヴェルバーグの監督たちに与えたのと同じものを、HDカメラは現代の監督たちに与えてくれる!」。




 『バルセロナは人口300万人が暮らす巨大都市であり、芸術、建築、ファッション、様々な分野で話題を提供するヨーロッパで最も刺激的な街のひとつである。この街で最も有名なのは偉大な建築家、ガウディの作品群だろう。1883年に建築が開始されたサグラダ・ファミリア聖堂や、回廊やパビリオンからなるグエル公園などには今も多くの人々がつめかけている。また、バルセロナはやや特殊な街でもある。スペイン有数の大都市でありながらスペイン語が使われていないのだ。バルセロナの人々はこの街だけで使われるカタロニア語を愛用している。クラピッシュは映画の舞台を選んだ理由をこう語っている。「バルセロナの多様性に恋してしまったのさ。とても古い街なのに、同時に極めて現代的でもある。また、国際的であると同時に、強烈なカタロニアのアイデンティティを備えている」。こうした“パラドックス”に彼は魅了されてしまったと言う。なるほど、“ごちゃまぜ”という意味を裏に隠すこの映画の舞台として、様々な要素を併せ持つバルセロナの街はまさにうってつけだった、というわけだ。

 “カタロニアのアイデンティティ”についてもう少し詳しく書こう。そもそもバルセロナは15世紀の昔から、スペインからの独立運動を続けていた地域であり、独自の言語であるカタロニア語を使用していた。しかし20世紀の半ば、それも30年以上にわたって、この言葉は使用を禁じられてしまったのだ。何故か。1930年代に勃発したスペイン内乱の際、フランコ将軍に最後まで抵抗したのがカタロニア地方であり、バルセロナだったから。やがて将軍が全権を掌握すると、バルセロナ人の“自由の象徴”、カタロニア語は全面的に使用を禁止される――。将軍の死後、この言葉は再び使われるようになったが、こうした事情ゆえにバルセロナの人々がカタロニア語に対して抱く愛情は深く熱い。ちなみに今でもサッカーでバルセロナとマドリッドのチーム(ベッカム選手が移籍したレアル・マドリー、ちなみにフランコ将軍も応援していた)が試合を行うと競技場はまるで戦場のような雰囲気に包まれる。その背景にはこうした歴史があるのだ。







 フランスが誇る気鋭のクリエイターKouz-1が製作したこの映画のサントラはなかなかにヒップな出来映えだ。スペインの異国情緒を感じさせるエスニック・フレイバーのクラブチューン。主人公の心情を代弁するルースなヒップホップ。その他、映画の“ごちゃまぜ”感を代弁するように、クラシックからアフロ・ブルースまでさまざまな音が詰っている。しかし、主人公グザヴィエと同年代の人なら、「このサントラ、かっこいい!」と興奮するより、例えば映画の中で感動的に使われるレディオヘッドの“ノー・サプライゼス”や、クラブのシーンで流れるダフトパンクの“エアロダイナミック”などを耳にした瞬間、自分自身の「思い出」が甦って「私もこういう曲聴いてたなぁ」と共感するだろう。

 コンポーザーのKouz-1ことロイク・デュリーは、クラピッシュとは前作『パリの確率』以来のつきあいだ。日本ではまだあまり知られていないが、彼はパリのミュージシャン、歌手、プロデューサーたちの集合体Kracked Unitのリーダーであり、サウンドトラックからクラブミュージックまで、あらゆる音楽シーンで活躍するクリエーターである。日本でも益々注目されていくに違いない。





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