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神経を衰弱させるような「サベイランス」のシチュエーションを考え出したのは「薔薇の名前」「誰かに見られてる」の脚本を手掛けたハワード・フランクリン。コンピュータの巨大企業と、ガレージで開発にいそしむ若き天才たちとの熾烈なパワー・バトルに興味をそそられた彼らは、すぐさまリサーチを開始。その結果、すべてのデジタル機器が互いに通信しあう機能デジタル・コンバージェンスのことを知り、この未来的な技術開発に伴って繰り広げられている〈プライベート・コントロールVS. 衆人のためのオープン・アクセス〉というバトルに注目した。
製作のニック・ウェクスラーは語る。「今日の社会ではテクノロジー系のリーダーたちが文化的なアイコンになっている。あらゆる人々が彼らに魅了されている。だから、テクノロジーの世界を中心に据えた映画は万人にアピールすると思ったんだ。」
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監督のホーウィットはこの脚本の中に、互いに結びつく二つの世界を描くチャンスを見てとった。それは、予測のつかないことが起きる現実世界と、合理的ですべてをゼロか1で表すことのできるコンピュータの中の世界である
「この映画は青年が現実に向き合うようになるまでの成長物語だと思う。人生の大半をコンピュータの前で過ごしてきたマイロは、視野が狭くコンピュータのコードにしか興味がない。しかし、物語が進行するにつれ、彼は画面から目を上げて自分の周囲で何が起こっているかを直視せざるを得なくなる。脳だけでなく、心と魂もフル活用しなければならなくなる。彼は巧妙に張り巡らされた世界で真実を引き出す術を学ぶんだ。」
また監督は、彼自身がテクノロジーに対して感じていた危惧を脚本が反映しているとも言う。
「今、情報の持つパワーは一握りのスーパーリッチな人々によってコントロールされている。これは非常に不安定で危険な状態だと思う。この物語はそんな状況の核心に迫っているんだ。」
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ゲーリーの唱える“シナプス”とは、すべての電子ワイヤレス携帯機器をひとつのコンテンツでリンクさせる画期的なシステム。現実の世界でも進行しているこのグローバル・コミュニケーション・システムを正確に理解して描写するために、製作陣はこの分野のエキスパートたちに指導を仰いだ。中でも重要な役割を果たしたのがサン・マイクロシステムズでJAVAソフト・チームに携わっている有名なエンジニア、ティム・リンドホルム。彼のおかげで「サベイランス」は、コンピュータを知らない観客も楽しめると同時に、先進的な知識を持った人々が見ても理論的に整合性のあるものになった。
通信衛星については、かつてNASAの宇宙船ガリレオでチーフ・エンジニアを務めたジェントリー・リーが知識やアイデアを提供。リーは過去にカール・セーガン博士のパートナーとしてテレビシリーズ「コスモス」に関わったり、アーサー・C・クラークと共著で4冊のベストセラー小説を発表している。ほかにもオープン・ソース・ソフトウェア(すべてのコンピュータ・プログラムのコードへのフリーアクセスが可能であるべきだということ)の動きを推進するコンピュータ業界の大物たち、フィンランドのライナス・トーバルズ、リナックス・インターナショナルのジョン“マッド・ドッグ”ホール、ノームの創始者であるミゲル・デ・イカーサらが協力している。また、サン・マイクロシステムズの最高経営責任者スコット・マクニーリー、前述のティム・リンドホルム、ミゲル・デ・イカーらが、映画の中にちらりと顔を見せている。
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プロダクション・デザイナーのキャサリン・ハードウィックにとって、技術偏執体質のハイテク業界を創造することは初めての体験だった。この世界独特の雰囲気と感覚、コンピュータ技術者が毎日体験している光景や音、空気を伝えたいと思った。そして、映画が“時代の一歩先を行く男の物語”であることを指標にし、ナーブ社の企業ロゴ、屋外広告、小売製品、そしてゲーリーが住む豪邸のデザインを決めていった。
アップル、ネットスケープ社などの労働環境をリサーチした結果、ナーブ社のメイン・オフィスにはブリティッシュ・コロンビア大学のキャンパスにあるチャン・センターが使用された。この建物の流れるような楕円形の外観に対応するように“エッグ”と呼ばれる屋内部分はバンクーバーのサウンドステージに建設された。サーフボード、スケートボードなどで装飾されたエッグは、社員を楽しませることによって最大限の成果を引き出そうとする会社の抜け目ない方針を反映している。また、社内に設置されて保育所の内部は、コンピュータのモニターにいたるまですべてのものがレゴのブロックでできている。
一方、ゲーリーの豪邸は緑豊かな自然の風景と堅牢な建物の外観をコンピュータで合成して作られた。この着想のテーマは“人間による自然の支配”。内部は禅や武士道など日本文化の影響が強く見られ、盆栽のもみじが周囲の装飾によって四季の移ろいを表現している。このアイデアを提供したのはティム・ロビンス。彼はゲーリーを、日本のサムライ的なものや、クールなテクノロジーに惹かれる人物にしたがっていたという。
また、ゲーリーの豪邸に展示されているのは現代アートの最先端を行くアーティストの作品。ガラス彫刻家デビッド・チフリーによるシャンデリア、ピーター・アレクサンダーとアストリッド・プレストンの絵画、マンディ・ヘップバーン、ピーター・デビッド&リチャード・スワンソンによるオブジェなど、まるでギャラリーのような豪華さだ。
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映画の中で展開されるのはデジタル・コンバージェンスの技術開発を巡る熾烈なレース。このシステムはすべての電子通信機器がテレビ、インターネット、ラジオ、電話を擁する一つのハイパワー供給源へと結合するもの。このコンセプトは現実社会でも非常に近いところまできている。技術上の障害を解決した会社が次世代のリーダーになるのは間違いない。しかしそれは、誰がそのような技術を所有するべきか、その技術に対してユーザーがどの程度の支配力を持つべきか、という数々の疑問をも提示する。映画はデジタル・コンバージョンの行く手に待ち受けている潜在的な危険性に対して警告を発しているのだ。
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